定年後の起業が増えている
定年退職したシニア世代が、長年培ってきた経験を活かし起業をするケースが増えてきています。シニア世代が起業する割合は、全体の35%にもなり、30年前の約3倍の数字になっています。定年退職後の起業でシニア層がどのように活躍されているのかご紹介します。
・シニア起業家とは
シニア世代で起業する人をシニア起業家と呼んでいます。日本では、65歳以上のシニア世代が、人口の30%近くを占めています。年齢だけを見ると高齢化社会になっているのは間違いないのですが、今のシニア世代はまだまだ働き盛りです。若者起業家とは違った活動をするシニア起業家に注目が集まっています。シニア起業家のお陰で、定年後の起業の新しいカタチが生まれてきています。
・シニア世代の力
世界保健機関では65歳以上を高齢者として定義していますが、日本では健康寿命が長くなることで、65歳以上の方でもまだまだ現役世代です。シニア世代が起業をすることで、若者の発想にはない事業活動が展開されています。若者起業家が利益優先で事業展開する傾向があるのにたいし、シニア起業家はやりがいや社会貢献を優先する傾向があります。若者起業家とシニア起業家の相乗効果は、社会経済にたいしていい影響を及ぼすでしょう。
シニア起業の特徴
シニア起業の特徴をご紹介します。ここでは、シニア世代だからこそできる起業の特徴を3つあげます。
・経験を活かす
シニア起業家の強みは、なんといっても長年の経験です。シニア起業家が成功しやすいひとつの要因は、長年培った経験を上手に活かしているからです。また、豊富な人脈も起業をする上ではプラスに働きます。
若者起業家は時代の変化に敏感ですが、シニア起業家は時代が変化してきたことを実感で捉えています。この辺りも経験のなせる技ですが、シニア起業家が選ぶ職種は、スキルが廃れにくい職種を選んでいるようです。
・資金的に有利
ある調査では、シニア起業家が準備した自己資金は約600万円、34歳以下の起業家が準備した自己資金は約370万円というデータがあります。
若いうちは起業しようとしても、資金不足で諦めてしまうことも多いでしょう。シニア世代は資金力があるので、若者起業家よりは確実に起業しやすい状況です。
・やりがいを求める
やりがいを求めて起業をするというのは、シニア起業家の一番の特徴かもしれません。多少収入が低くても、自分がやりがいを感じることで起業をする人が、シニア世代には多いようです。やりがいといっても自分自身の好みを優先したものばかりではなく、社会に貢献したいというやりがいをもつ方も多いです。
シニア起業の成功例
シニア起業の成功例をいくつかご紹介します。
織物会社の経営を引退したTさんは、特殊な織物技術の事業をスタートしました。ニッチで付加価値の高い商品を作り上げて、新しい市場を開拓しようとされ起業しました。
着物のリサイクルショップを退職したYさんは、着物の生地を活かした現代ファッションの事業をスタートしました。家族の理解や力の起業支援をもらって実現しています。
定年退職後、職業訓練プログラムで米粉パンについて学んだMさんは、米粉パン&シフォンケーキの製造販売の事業をスタートしました。東日本大震災を機に、なにかしら社会に役立ちたいと思っていたその思いを実現させました。
このように、シニア起業家として定年後の起業の新しい形をつくりだしています。
シニア起業の支援
シニア起業を支える支援についてご紹介します。
・女性、若者/シニア起業家支援資金
日本政策金融公庫の融資制度で、シニア世代は55歳以上の方が対象となっていて、上限7200万円が借りられます。
・一般社団法人・日本シニア支援機構
シニア層の方が生き甲斐を持って事業に取り組むことで、生涯現役で活躍できるように、また日本経済が発展するように、経営改善の支援や様々なセミナーでサポートしています。
・生涯現役起業支援助成金
こちらは、厚生労働省の助成金制度です。起業される方の対象年齢が40歳以上ですが、雇う従業員の年齢によって、助成金の上限が分けられています。
この他にも、一般に公募されている支援もたくさんあります。
シニア起業で気をつけること
シニア起業で気をつけることを簡単にご紹介しておきます。
一番重要なことは、家族のサポートが必要だということです。老後の資金を使って起業する場合は、きちんと説明をして納得してもらわないといけません。
また、健康面でも自己管理が重要です。経営ストレスで体調を崩しやすいので、常に注意が必要です。
さらに、従業員を雇うときには、上司と部下という意識をなくして接することも大切です。会社の役職を歴任した人は、どうしても上から目線で接してしまいトラブルになるケースがあります。
まとめ
定年後の起業についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?むかしは、定年退職したら隠居というイメージがありましたが、いまでは、定年退職したら起業というイメージもできつつあります。まだまだ、定年後に臨時で雇ってもらうという方も多いですが、起業に関心のある方には、是非シニア起業家として頑張ってもらいたいと思います。